彼女が京都へ来た 「お友達が関西へ旅行するって言うの、私同行するけど別行動で京都へ行ってもいいかしら」 「いいよ 一泊するつもりでね」 うっかり言葉にした。 「多分そうすると思うわ」 素直な返事にほっとした。 10年前のこと。彼女が京都へ来ると言う。 正直あわてた。彼女には夫がいる。私にも寝たっきりの妻がいる。 こんなおつき合いしてもよいのだろうか? 私は、結婚して近所に住んでいる娘に、今まで何でも話し合い相談してきた。 すみちゃんのことも。その彼女が京都に来ると言う。娘はなんと思うのだろう。 「ママの介護の息抜きに、ちょっとくらい楽しんだっていいんじゃない 一泊するんだったら ビジネスホテルへ案内したら」 実にクールな返事。 お決まりの京都見物を一通り、中でも雨上がりの大原・三千院 は風情があった。 庭園を歩きながら、いつしか腕を組み手を握り合っていた。 「よっちゃんね、手を握りに来たことあるのよ。内田さんとは初めてね」 初恋が、想い出だけではなく実ったって感じ。ゲット。 翌日、ビジネスホテルに泊まった彼女を、我が家に案内する。妻は入院している。 家では、娘が3月前に産まれた赤ん坊を抱いて待っていてくれた。 彼女は私の初孫を、愛おしそうにしっかり抱いてくれた。 それから数年後に彼女の夫が他界され、その数年後、私の妻も他界した。 寝たっきりだった妻の介護については、 「主夫してます」 で紹介してます。 このページのtopに戻ります 私が彼女を訪問した。