区 画 整 理

1 名 称

西浦町の区画整理は、
正式の名称を

「京都国際文化観光都市建設計画西浦地区土地区画整理事業」

という長い名である。

名は体を現すというが、
昭和25年制定の法律「京都国際文化観光都市建設法」
に基く事業の一環として行ったものである。

2 構 想

西浦町は元練兵場、戦後は農耕地、しかも、緑地地域、
京都と伏見の中間にあり、国道24号線や竹田街道に沿う、
交通利便の地であるにかかわらず、ここだけが、無住に近い地帯であった。

(居住者4戸)
所が、名神高速道路が、この地を通過、しかも、
京都の裏玄関、バスストップができる事態となったので京都市は健全なる市街地造成のため、
区画整理を意図したのである。

しかし、この地が「緑地地域」であるため、
これが解除が先決問題、市は道路公団や建設省と協議、
次の構想で、認可を得たのである。

1 高速道路は西浦町の南端を通過
2 中央に「バスストップ」を緑地とする。
3 高速道路に沿い、巾約30Mの緑地地帯と巾20Mの道路を設け、街路樹を植える。
4 区内に小公園5ヶ所を設ける、内2ヶ所は児童公園とする。
5 バスストップの前に広場を設ける。
6 広場の前一帯を、商業区(サービスステーション等)とするそのため保留地を設ける。
7 住居地域に指定して、工場は10坪以下に規制する。
8 区画道路は、6〜12M巾を基準とし、交通安全のため「屈折式」を採用、「区画整理モデル地区」とする。
9 国道24号線と竹田街道の巾員を、約六M拡張し、道路構造令に従い築造する。
10 砂川、キトロ川などの河川と排水幹線路を完全改修する。

3 事 業 体

京都市の直営で行われた。その機構は次の通り。

都市建設局
区画整理課・換地課・整理課・移転補償課
諮問機関
区画整理審議会・評価員

4 施 工 区 域

深草西浦町の全部・竹田中川原町の一部・深草五反田の一部面積130,671(43.2HT)

5 所 要 経 費

総額・・・266,000万円

財源・・・保留地処分金・京都市負担金

    国費(幹線水路改修費)

支出・・・区画道路工費約1億円・幹線道路工費約5,000万円

    水路工費・公園施設費・移転費・事務費等

6 事 業 経 過

1.審議会委員

西浦地区区画整理審議会は、市長の諮問機関、換地計画、
仮換地指定など重要事項について、意見を述べ、同意を与えるのを任務とする。

委員は10人、内3人は学術経験者7人は選挙任期5年。

選挙手続きは全く国会並み、恐らく最小の公式選挙であろう。

選挙場は深草小学校、深草、砂川、竹田、桃山、上賀茂の地区代表者が当選、
不肖秋山も地元から推されて当選、整理地区内居住のただ一人の委員として参画した。

本区画整理は、市直営の天下り事業であるが、
当時の世相、民主主義に即応せんとする努力がよく見えたが、
民意を必要以上に気にしたせいか、常識の起工式すら行はなかった。

また、会議の後は必ず懇談会と称する鋤焼き程度の酒食、
時には先進地視察と称する温泉旅行もあって甚だ不快、私は殆ど欠席した。

2.モデルかテストか

西浦地区区画整理には、大々的にモデル区画整理と銘がうたれた、
区画道路を安全交通のため「突当たり式」とした点を指さすのであろうが、
この形式も疑問され、その後の区画整理には一向に応用されていない。

モデルよりもむしろ「テスト区画整理」ではなかっただろうか、
「道路舗装」「側溝覆蓋」「水道ガス工事」などが計画から除外されていたため 後日に大きな問題を残した。

道路舗装については、次の自治会の項で述べる。

3.事業の停滞と促進運動

区画工事は、丸善自動車学校付近の変更があった程度で、
概に順調に進渉、42・7・31の事業完了予定日には竣工の見込みで進んだ。

39・11・1の仮換地指定で、自分の土地がはっきりした時点からは、
土地の売買も活発、建物の建築も急に増え始めた。

所が、ここに甚だ困った問題が起きた。

西南隅の竹田中川原町の畜産業者2戸が、仮換地に対する異議どころか、
当初から全面的に反対、その理由は、
「名神高速のため移転したばかり、
今また減歩のある区画整理には応じ兼ねるるので整理区画から除外して欲しい、
土地が入用ならば買収方式で応じる。」

市当局は、既定の方式で交渉するが無駄、
さりとて強権発動もならず、交渉は打つ手もかえず、
実に5ヶ年もの間つづけ区画事業は全く開店休業の状態であった。

この間、西浦町内には、電話局、法務局、農協などを初め、
会社や住宅の建築が年毎に増えつヾいた。区画整理が済まぬと、
新町名新番地も決まらぬので、名刺、帳簿、印章、印刷など日常業務に支障、
区画整理事業の停滞に対する不平不満の声は、次第に高くなった。

44・4月深草総合庁舎の開所の際、
富井市長と市政協力委員との懇談会がもたれたが、
その席上、不肖秋山と内田現連合会長とで、区画整理の停滞について、
現地視察の上、早急に善処方を申し入れた所、
旬日を出ずして、担当幹部職員を更迭され、
新手な方法で急速に解決、残存工事も終り、
45・4・1には新町名地番も公示、
登記事務も終了して、西浦地区区画整理事業は総て終了したのである。

36・4・1計画公示から、実に9年の歳月を費やしたわけである。

4.保留地区分

40・8・24西浦地区区画整理の保留地処分の公開入札が深草小学校で行われた。

開札の結果は予想外に高値で、坪当り3〜6万円、不肖秋山も3万千円で落札した。

残った分は、翌年度に一戸分程度に細分して入札、
坪4万円前後で総てが処分された。

勤労者分譲住宅、住宅公団住宅(総合庁舎)用の保留地は、
市の評価委員の価格によったが、恐らく予算面上の坪1万円ではなかったか。

因に法務局は官有地、農協、農民会館は官有地の借地、
電話局、郵便局は私有地である。

5.登記時のもめ事

区画整理に伴う登記事務は、45・4・17に行われたが、
偶々、同4・1から登記料が改正、四丁目の会計士などが中心となって
「市当局の事務怠慢によって受けた登記料の損害を弁償せよとの」申し入れ、
折渉の結果、市は現金弁償の代わり、当時喧噪中の道路舗装について、
四丁目北部を繰り上げ実施することで一件落着。

因に、四丁目南部はボーリング場開設を機に私費舗装済。

6.新町名について

区画整理に伴う新町名地番については、
42年道路工事が終わった時点で、
地元民に意見を聞く会がもたれ、深草、砂川、
竹田の自治会連合会長と西浦町から不肖秋山と西浦勤労者分譲住宅理事長とが出席、
席上、西浦町なる町名は京都市内外に数多くあるので、
この際「うづらの里」など斬新な町名がふさわしいと話合ったが、
西浦勤労者分譲住宅の名称変更に困難な事情もあって、
結局、西浦町を継続することに決定。

市は、この意見に基づき
「西浦一丁目〜四丁目、西浦東一丁目〜四丁目」を作案、
審議会で修正し現行の「西浦町一丁目〜八丁目」と決定、
丁目地番を新方式の右廻り式。

公示日を区画整理完了予定日の42・8・1と内定したが予定日が大幅に延び、
45・4・1の公示となった。

因に、京都市内の同町名と類似町名を挙げると

右京区梅津西浦町
左京区田中西浦町
南 区吉祥院西浦町
東山区椥辻西浦町
左京区一乗寺西浦畑町
上京区滋野西裏辻町
(京都市町名簿より)
事業経過日程
36・4・1 施行規程公布(市条例)
36・8・16 都市計画区域決定(建設省告示)
37・1・29 用途地域変更=緑地解除(省告示)
37・3・29 事業計画認可(省告示)
37・3・31 農業会議答申(京農)
37・4・5 事業計画決定公告・説明会開催
37・7・12 審議会委員選挙
37・11・1 工事着手
39・11・1 仮換地指定=異議受付
40・8・24 保留地競争入札(未成立分は次年度)
41・3・31 工事は換地未了一ヶ所を残して終了
42・7・31 換地未了二件のため事業完了予定期を一期延長・審議会委員を再選挙
45・3・31 換地完了・残存工事完了
45・4・1 新町名地番告示
45・4・17 土地登記事務完了・区画整理事業完了。


区 画 整 理 規 模 数 値 一 覧 表




深 草 西 浦 町 区 画 整 理 完 成 図

7 西 浦 町 地 価

西浦町の区画整理については、
いろいろと不平不満な点もあったが、
若しも、無秩序に開発された場所のことを想像すると、
全く身の毛のよだつ思いがする。

結論的には、西浦の区画整理の効果は大したものであって、
この間の事情を端的に証明する地価の上昇状況を一覧に供する。

坪当り価格
35年 5百円名神高速工事中
36年  千円西浦区画整理計画公示
38年 1万円区画工事中
39年 2万円仮換地指定 名神高速開通
40年 3万円保留地処分
41年 4万円勤労者分譲住宅建つ
42年 6万円区画道路工事終わる
43年 8万円法務局 電話局建つ
44年10万円総合庁舎開所
45年13万円区画整理事業終わる 新町名
46年19万円龍大体育館
47年22万円龍大学生会館
48年27万円マイショップ・食品センター開業
49年35万円高層建築の深草西浦住宅できる
50年43万円西浦郵便局
53年55万円中信竹田支店 下水工事始まる
54年60万円集会所・うずらの里児童館ができる
(6丁目 アサヒ不動産調)

今年55年には、4丁目角地が88万円、
6丁目角地が百万円で実際に売買された由。

一望の水田時代、坪1円80銭、から30円、
朝に夕に見ているこの土地が、ついに100万円台
、 全く夢のようであり、全く驚きの現実である。
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